露地行灯のすすめ 

この度都行燈より新商品 OUTDOOR LIGHT(防雨型) SLIM FRAME が完成しました。   

1. 日本の宝 「露地行灯」

 
今回、都行燈より発売された通称「露地行灯」(屋外用のスタンドライト)は、従来もわずかながら照明器具メーカーから商品化されていましたが、シリーズ化や特注対応可能なものは殆ど無かったと思います。又品質やデザインが優れており、価格的にも屋外用としてはリーズナブルであると考えます。
 
 屋外用の照明器具は多種存在するのですが、そのいずれもが設置や配線に電気工事や造園業の手を借りねばならず、土を掘り起こすことから始めなければなりませんでした。しかし今度の「露地行灯」はスタンドであり、外部コンセントさえあれば5m程のキャプタイヤコード(ゴムで被覆されたコード)を地上に這わせばいつでも好きな場所に移動可能なのです。屋外用スタンドなので防雨対応になっており、庭園・テラス・通路・アプローチ・外玄関など使用できる範囲も大変広がることになりました。
 
 この行灯は日本の照明の歴史の中では重要な意味を持っていました。室町時代の武家社会では夜の出歩きにいつ襲われるか分からないので、携帯用の移動灯火器が必要でした。ですからこの照明器具を「行く灯り」という意味で「行灯」と呼んだのです。しかし屋外から家に入る時行灯をそのまま入り口においてその明かりが書院造の室内灯にもなり、入口を示す街路灯にもなった訳です。防雨効果はありませんので、現在でいう内玄関に置いたのですが、外玄関や路地を照らす光にもなり、江戸時代には露地行灯という名詞に変わっていったのだと思います。
 
 そしてそのデザインも火を使っていたので立方体に近く和紙で囲んで風をよけることから、シンプルイズベストの形態が日本のプロダクトデザインの原型となり今に至っています。都行燈はこの原型を守りつつ現代の建築にマッチした美しさを作り上げており、私はこのデザインを高く評価しています。
 
 さらに評価できるところは屋外用になると金属部分が増え、重たくごっつくなってしまうのですが、5mmほどの金属枠と和紙に近い風合いの樹脂で制作された繊細さを持っているので、屋外だけでなく室内にも置けるデザインであると思っています。
 
 いわば「日本の宝」を再現させてくれた製品であろうと思っています。
 
 
 
 
 

(文:河原 武儀)