4-2部屋別の選び方 【和室の照明は住宅照明の手本】

部屋別の選び方

4-2 部屋別の選び方 【和室の照明は住宅照明の手本】

現在の住宅は和室が大変少なくなっています。特にマンション住まいだとほぼ和室がある所は無いですよね。マンションでもリビングの一部に「和風コーナー」と称して畳の部分を設置したり、戸建て住宅に「老人室」や「茶室」などと称して畳の部屋があったりしますが、住む方が希望して実現すると言う状況ではないでしょうか。つまり特別な部屋という扱いになっています。しかし和室や和風コーナーはもっと選択肢に入れて選べるようにならないでしょうか。洋室でも和室的なインテリアがあります。私の住むマンションでも畳の部屋こそ無いですが、リビングにジュータンを敷き床に寝転がるととてもリラックスでき、ソファに寄りかかって休息することが多いのです。ソファに座るのではなく、ソファをクッション的な寄りかかり生活にして楽しんでいるのは私ばかりではないと思います。私は日本の住宅の良さはこれではないかと思っています。つまり靴を脱いで生活するメリットはこの床に近い位置に身体をゆだねることが出来ることなのではないかと思うのです。洋室でも和室的に過ごすことが可能なのです。

  さて話を照明に戻しましょう。照明メーカーのカタログで和室の照明器具を開いてみるとコードで吊っている物が多いと思いませんか。それはちゃんとした理由があります。目の位置が洋室よりも低いからです。又お膳の上を明るくしようとするとコードで吊り下げないと光が届かないと言う理由です。ですから和室や和室的に使う部屋にシーリングライトやダウンライトを設置するのは間違っているのです。平面図でプランするとこの距離感が感じられず、シーリングライトの何畳用という大きさに騙されてしまいます。つまり言い換えると和室は極力低い位置に光源を下げるか置くと良いと言えます。

もちろん洋室でも低い位置に光があったほうが良いと言えると思います。立って生活することは殆どなく、リラックス態勢を考えることが賢明と言えましょう。

和室に多いコードペンダント

ただし居間と客間は別の考え方をします。客間はお膳を片付けて布団の出し入れをするのでコードで吊ってあるものは邪魔になります。この場合は和室用のシーリングライトで良いと思いますが、お膳を出した時は手元が大変暗くなりますのでひと工夫が必要です。それが行燈照明をプラスすることになります。和風の旅館でもシーリングライトの他に必ず行燈が置いてあると思います。行燈は床の近くに光だまりを作りますのでお膳の上でも結構明るくなります。又布団で寝る時の枕元照明にもなるので和室には必需品だと言えます。

 客間や和風旅館はシーリングライトで良い

おもてなしの灯かりにもなる行燈照明

今まで述べてきたことは和室に特化した話ではありません。洋室にも通用する話でリビング、子供部屋、書斎、家事室等でリラックス効果を狙うなら、すべてこの考え方が通用します。

つまり、

①出来るだけコードで低く吊る照明にする 

②シーリングライトやダウンライト等の天井照明が設置される場合は、行燈やフロアスタンド等の床置き照明と併用する。

という原理を覚えておいてください。

(次回もお楽しみに)

(文/河原武儀氏)



和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
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公式サイト https://www.miyako-andon.com/