4-3 部屋別の選び方 【間違いだらけの玄関照明】

部屋別の選び方

4-3 部屋別の選び方  【間違いだらけの玄関照明】

  今回は部屋ではありませんが、部屋の照明をより良く見せるために玄関から照明計画を考えて頂きたいと思いテーマに選びました。

まず玄関は暗くしてください。日本の住宅の構造上どうしても玄関が明るくなってしまいます。それは玄関で靴を脱ぐのでよっぽど親しい方しか部屋に上がらないという「玄関まで」という感覚があるのです。ですから宅急便の方や回覧板を持ってこられる近所の方は玄関しか見ないと言うことになります。したがって玄関は明るく豪華に見える照明にするのです。欧米の玄関はそのままリビングに繋がる入口なので明るくする必要が無いので、人に見せたくないジャガイモが入っている段ボールや廃棄する新聞紙の束などを玄関に置いてあり暗くすることが多いのです。

さてそれがどのように影響するかというと、暗い外を歩いて帰ってきた人は眼が暗さに慣れているのに玄関で明るさに慣れてしまい、リビングに入った時にはどんなに明るくても暗く感じてしまうと言うことが起きています。明順応には時間が掛からないと過去にお話しした通りになっているからです。これはリビングに通ずる廊下も同じことが言えますね。

 豪華で明るい玄関

そこで日本の住宅の玄関照明を見てみますとダウンライトやシーリングライトが圧倒的に多いと思います。これらの照明は頭の上から顔に向かって光を当てることになりますので、眼が明るさの刺激を受けてしまいます。しかも靴を脱ぐ足元や下駄箱の内部は明るくなりませんので機能的にもハイパワーの物を選定してしまいがちです。またブラケットを下駄箱の上に付けても内部が暗くなってしまいます。

シーリングライトや下駄箱上のブラケットは足元が暗くなる

 

ではどのような照明が良いのかというと、一言で言えば足元が明るくなる照明です

フットライトは手法としてはベストです。しかし明るさが少し足りないことが多いので、最近は間接照明(テープライト等)を設置することが多いようです。また下駄箱収納と反対の壁にブラケットを取り付けると言う方法も大変良いと思います。

天井にシーリングライトは止めましょう。ダウンライトは廊下の照明として設置すれば玄関は不要です。足元の照明としてフットライトや間接照明で十分です。

フットライトや収納の反対壁にあるブラケットがお勧め

和風照明で露地行灯というのがありますが、足元を明るくすると言う機能的なものであったわけです。ですから内玄関でも行燈を上がり框上に置くのもお勧めです。邪魔にならない所に置ければ行燈は「お出迎えの灯かり」や「おもてなしの灯かり」になるでしょう。

玄関に行燈はお出迎えの灯かりになる

 

フットライトとして間接照明などを設置する際は、光が床に当たってリバウンドする効果を考えましょう。つまり真っ黒な敷石やタイルは避けて明るい色彩を選ぶと効果的です。又光沢のあるタイルなどは間接照明の光源が映り込みやすいので事前チェックが必要です。

(次回もお楽しみに)

(文/河原武儀氏)



和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
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